相反する二つの感情の両方に、価値を置く
ambivalentという言葉を知ったのは、中学生、いや小学生の時だったか。
自分がしばしば抱く、このもやもやとした感情をすっきりと言い当ててくれる言葉を得たとき、サリバン先生に "water"という言葉を教わったヘレン・ケラーのような清々しい気持ちになった。
私は40代男。数歳年下の男と付き合っている。本当に好きで好きで、頼み込んで付き合ってもらったし、その気持ちが変わったわけでもないくせに、遠くに転勤すると言われればホッとして別れるだろう。
母は日に日にADL(日常生活動作)が下がっている。リハビリや食事療法等を頑張って、何とか良い時間を少しでも長く、と思う反面、母がいなければできるであろう私自身の自由度の高い生活についてしばしば思いを馳せてしまう。
私の人生は常にアンビバレンスとジレンマを重ねて生きてきた。たぶんこれからも。そのありきたりな内面の物語を、少しずつ残していこうと思う。